MEMORANDUM

  汽車に飛び乗る

♪ あれは三年前 止めるあなた駅に残し
  動き始めた汽車にひとり飛びのった

  ちあきなおみ 「喝采」 (作詞:吉田旺)

◆ 《教えて!goo》 にこんな質問。

◇ ちあきなおみの歌 「喝采」 の一説に 「止めるあなた駅に残し、動き始めた汽車に一人飛び乗った」 とありますが、そんなことは可能でしょうか? 汽車=SLと考えています。SLのドアは開いていて、飛び乗ることは可能だったのでしょうか? それともこれは比ゆ的表現ですか。
oshiete1.goo.ne.jp/qa1991118.html

◆ なかなかおもしろい質問だと思う。よく理解できない歌詞の一節の意味をそのまま放っておかずに、きちんと調べようとするのは、よいことだろう。さて、この質問にたいする回答は簡単で、飛び乗ることは可能だった。むかしの客車(旧型客車)のドアは自動ではなかったから。

◆ だれもが(とは言いすぎだが)列車に飛び乗り、また飛び降りたものだった。

◇ ほんの30年前であるが、よくあんな不安全なものが本線上を走っていたものだ。客車のドアは手動。寒いとき以外はドアなんてしまっていないから、デッキは無防備そのもの。当時は転落事故もよくあったと聞く。中学生頃は、肝試しと称して走行中、しかも鉄橋上とかでデッキからデッキに移るアクロバットのようなことをしている同輩もいた。
crewcs.exblog.jp/5232867/

◇ 旧型客車のころは、上の写真のようにデッキの手すりにつかまっての危険な曲乗り(機関車直後の客車のデッキにぶら下がっている中学生)が、めずらしくはなかった。私も、トンネルの壁に足を当てたりしたものだった。
www.kisyaclub.gr.jp/action_kisya/memberprofil/suwa/df50/df50.html

◇ 「旧型客車」 の特徴の一つは、ドアが手動だったこと。乗客が勝手に開け閉めできるので、暑い日はデッキにあるドアから、手すりにつかまって体を乗り出すことも、飛び乗りや飛び降り(もちろん大変危険なので、ぼくはしたことがない)もできてしまう。
homepage3.nifty.com/kumanotaira-mura/tetsudo-kyakure.htm

◇ 私が中学生のころの四国では、手動ドアの列車がまだ走っていて、デッキのドアを開けてデッキに腰掛け、脚を外にぶらぶらさせた状態で乗ったりしたもんですが。
www.matino-akari.com/linksyu/log/news/04565.html

〔鉄道死語辞典:飛び降り〕 日本でもつい最近までは、自動扉のない旧型客車が地方へ行けばどこでも走っていたから、地元の高校生達は列車がまだホームに停車しきっていないうちからぴょんぴょん飛び降りていった。私も真似をして飛び降りたら足首を捻挫した。東北本線郡山駅での話である。
hokuso.com/shigo/html-shigo-032.html

◇ 九州ではレッドトレイン50系以前の銀河鉄道999の客車みたいなので乗降口の手すりにぶら下がっていると老朽化した手すりごと落下した高校生のニュースがあったなあ。
sodium.dnsalias.com/sodium/diary/20040118.html

◇ もともと、当時の国鉄が50系投入を急いだのは不良高校生対策があった。彼らが旧型客車の手動ドアを開け放し、ひどいのになると出入り台から走行中に小便をしているものまでいたし、ドアを開け放してデッキでふざけあって、転落し、死傷する者が後を絶たなかったからだ。
blog.kansai.com/kouzou/14

◇ FM番組でちあきなおみの 『喝采』 を久々に耳にした。昭和47年のレコード大賞受賞曲。歌中に 「♪動き始めた汽車に 一人飛び乗った」 というくだりがある。デッキ部分がオープンになっている古い型の車両であろう。昔聴いたときは気にもとめなかったが、列車がほぼ100%自動ドア車両となった今、改めて聴くと 「ああ、昔は自動ドアじゃなかったんだなあ」 としみじみ感じる。そもそも、歌詞に 「汽車」 という言葉が出てくることも、今ではまずないよ。
www.jaist.ac.jp/~joo/kako5.2002.1-6.html

◆ ワタシも、ああみんな自動ドアになっちまったんだな、としみじみ思う。

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